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ダイエットの経済的価値を試算してみた

ダイエットの経済的価値を試算してみた

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先日、とある研究結果を見つけました。

愛知の健康保険協会による

 BMI が医療費に与える影響について(※1)

というレポートです。

 このレポートでは標準的なBMI値から逸脱するほど、年間平均医療費が増えるという結果になっていました。肥満になるほど不健康で病気になる確率は高いイメージではあるので、直感的にも理解しやすい結果です。

 このレポートを見た時にふと、「BMI値と医療費を法則化できるなら、将来かかる医療費への影響値としてダイエットの効果を計算できるのでは?という考え、ザックリ試算してみました。

①分析課題

 将来かかる医療費への影響値としてダイエットの経済的効果を法則化すること

②前提

・BMIと医療費の関係性は前述の※1を参考に用いるとする。
(しかし、元データ及びモデル式は不明なため、レポート内グラフの縦軸・横軸値の値を参考にそれっぽいモデルを作成。今回試算に使った式は以下の通り。また参考では男性・女性間でもモデルが若干異なるものの、目分量になるので区別はせずに考えております。)
 年間医療費 = 631.313×BMI^2 – 24,873.737×BMI+ 331,439.394

・レポートには明確な記載はなかったが、研究当時の同年代国民1人あたり医療費の額と比較すると約3割程度だったため、自費負担額で計算されていると想定。

・医療費相場については、分析時最新の2019年データに基づいて計算するものとする。(将来的の医療費相場の変動は加味しない)

・モデルのサンプル条件が35 歳~74 歳であったため、試算対象とする医療費は「35歳~74歳までの医療費」とし、35歳~74歳までの医療費を生涯医療費とする。

プロセス1.直近の医療費相場の反映

 データが平成20年の研究データで10年以上前のデータであったため、現在とは相場が大きく異なっていると考えられる。そこで、政府の統計情報サイト(e-start)で現在と当時でどの程度医療費相場が変化しているかを検証。

 直近のデータは2019年の国民医療費(第8表 国民医療費・構成割合・人口一人当たり国民医療費,診療種類・性・年齢階級別)より、当時のデータとしては2008年の国民医療費(第12表 性、年齢階級、診療種類別国民医療費及び人口一人当たり国民医療費)を使用※2

 人口一 人当たり国民医療費(千円)の35歳~74歳までの医療費を比較

 
   ※2より著者作成

 これより医療費は35歳~74歳までにかかる医療費は112%上昇しているといえる。
 そのため、本分析では以下の式を35歳~74歳までの医療費を生涯医療費として用いるとする。

 生涯医療費 = (631.313×BMI^2 – 24,873.737×BMI+ 331,439.394)× 112% × 40 (※3)

プロセス2.  消費カロリーをBMI値に換算

 次に運動して消費したカロリーとBMI値の法則化を行う。

 カロリーに関してはタニタの「カロリーとは」より、以下の記述を参考にしました。

 ”体内に貯蔵されている脂肪1kg(1,000g)を消費するにはどれだけのカロリーが必要になるのでしょうか?
脂肪1gは9kcalなので、1kgの脂肪を消費するには9000kcalのカロリーが必要かといえばそうではありません。人間の脂肪は「脂肪細胞」として蓄えられているので、全てが純粋な脂肪というわけではありません。脂肪細胞の約8割は脂質(あぶらの塊)ですが、残り2割ほどは水分や細胞を形成するさまざまな物質で構成されています。
これを踏まえて計算すると脂肪1kgを消費するのに必要なエネルギー(カロリー)は、9kcal×1000g×80%=約7200kcal 程になります。”

 もちろん、ダイエットで消費したカロリーが全て脂肪を消費するとは限りませんが、一旦全て脂肪で消費したと仮定すると、7200kcal消費すると1kgのダイエット効果となります。(実は筆者は昔レコーディングダイエットをしたことがあったのですが、その際に消費カロリーと体重変化をこの水準で計算すると概ね一致していたので結構信頼しています)

 またBMI値は以下の通りです。
   BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)^2
 つまり先ほどのカロリー計算に直すと
   BMIの変化 =     カロリー変化(kcal) / [7200 × 身長(m)^2 ] (※4)
 となりますね。

プロセス3.  消費カロリーから経済的価値を計算

 よって※3と※4の式を計算することでカロリーの生涯医療費への影響値をとして経済的価値を計算できます。

身長ごとに適切なBMI値が異なるため、一律に何kgの人が何kcal消費するといくら、という形にはなりませんので参考までに、身長165cmの人、170cmの人、175cmの人のパターンで以下に試算しています。

 身長175cmの人の場合

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 身長170cmの人の場合

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 身長165cmの人の場合

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 以上の様になります。この表を見れば、自分の現在の身長と体重から、ザックリ100kcal消費した運動をしたときの生涯医療費の変化が分かりますね。

 例えば身長170cm、体重75kgの人が、100kcal消費する運動を能動的に行った場合は、生涯の医療費を約1600円節約したことになります。

 逆に、食べなくてもいいのにとりあえず食べる様な無駄な接種をしてしまった場合、つまり100kcalを無駄にとってしまった場合は生涯の医療費を約1600円増やす事になります。

 20円で60kcalくらいの一口サイズのチョコレートなら、もしそれを食べなかったとしても全く同じ生活をしていた場合、実は約1000円分損をしているのかもしれません。

 運動で100kcal消費しても、理論上は0,1kgも脂肪は落とせません。ですが将来の医療費を1600円減らせるならちょっとやる気になりませんか?

 一方で痩せすぎもよくないことが分かります。標準的なBMIよりも体重が少なすぎても、不健康で医療費は平均的には増えるのです。

あとがき

 もちろん、理想的なBMI値=健康とは限りません。ダイエットも痩せ方次第では逆に不健康になってしまう事もあるでしょう。あくまで、そのBMI値の平均的な人のデータであって、個別には様々な事情があります。

 ですのでBMIだけを判断基準に考えるのもあまりよくありませんが、こういった観点から一度自らの食生活や生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか?

 ここでは35歳~74歳のうちにかかる医療費を生涯医療費としています。75歳以降や35歳未満だとBMIよりもその他の病気の原因の方が多そうなので、生活習慣要因での差分を考えるならザックリこの数字でもいいのではないかなとは考えています。

*参考:35歳以上で現在の年齢に合わせて推計したい場合

 ここでは35歳~74歳時の合計を将来の生涯医療費としていますが、既に40代、50代の方もいらっしゃるとおもいます。しかし、医療費は年齢が増える程高くなる傾向にあるので、ザックリ年数で割っても精緻なモノは計算できません。

 上述の表に対して、ご自身の年齢に合わせて、下表の黄色の比率をかけていただいたものが、ザックリ、将来の医療費への影響値になりますのでよろしければご参考ください。

※2より著者作成
*この分析は、データ分析の面白さや健康意識の向上を目的としたものではありますが、ザックリ行ったものであり、データソースの信頼性・モデルの精度、ダイエットの効果などを保証するものではありません。この情報を参考にした結果、いかなる損害を被った場合でも当方は一切責任を負いません。あらかじめご了承ください。

倍プッシュのリスクを数字で考える【マルチンゲール法】

倍プッシュのリスクを数字で考える【マルチンゲール法】

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ギャンブルや投資において負けない戦略として、マルチンゲール法は非常に有名です。

マルチンゲール法という言葉は知らずとも、
その中身を知っている方は多いのではないでしょうか?

目次

マルチンゲール法とは?

 マルチンゲール法とは簡単にいうと、”1/2の確率で勝てば賭け金が倍、残りの1/2の確率で0になる、という様な賭けにおいて、”負けた場合にはその前に賭けた額の倍を賭ける”という方針で行えば負けることはない。”という必勝法です。

 例えば、1回目で100万円を賭けて負けてしまっても、2回目で倍の200万円を賭けて勝てばトータルでは+100万(1回目のマイナスー100万+2回目のプラス200万)となり1回目の損も取り返せます。
 同様に、2回目で負けてしまっても3回目でさらに倍の400万円を賭けて勝てばトータルでまた+100万(1回目のマイナスー100万ー2回目のマイナス200万+3回目のプラス+400万)となりこれまでのマイナスの全てを取り返せます。

 もちろん、この必勝法には有名な弱点があります。それは、”資金は無限ではない”という点です。たとえば元から300万円しか持っていなかった場合は先ほどの例では2回しか賭けることができず、2回目で失敗した場合有り金全てを失うことになってしまうのです 。

マルチンゲール法の魅力

 しかし、それでもなおマルチンゲール法には魅力があります。それは資金は無限ではなくとも、数回この戦略で回せる余力があればかなり高い確率でプラスの収益を得ることができるからです。

 例えば700万円のお金を用意して、100万円から賭けをスタートするとします。”一度でも勝ったら賭けを終了する”と決めて賭けた場合、87.5%の勝率で+100万円を得ることができます。

 そう聞くと、9割近くの確率で100万円増やせるならやってみたい!!という気持ちになってしまいますよね。

 これがマルチンゲール法の魅力です。

必勝法なのに期待値は0の戦略

 しかし、マルチンゲール法が期待値の高い戦略かというとそうではありません。実は期待値を計算すると0になります。それもそのはず、もともと期待値0の賭けにどう参加するかどうかだけなのですから、期待値が変わることはありません。

 先ほどの700万用意して100万を賭ける例で実際に損益の期待値を計算してみると  

 87.5%×100 – 12.5%×700 = 0

 そして期待値0なのは資金をどれだけ多く用意しても同じです。負けても倍でかけられる回数が増えれば増えるほど、利益を得られる確率は高くなりますが、その分だけ負けた時の損失が雪だるま式に増えていってしまうのです。

収益率から冷静に考えてみる

 とはいえ、ほとんど負けないんだから大丈夫だろう、自分は勝ち逃げするから大丈夫と多くの人が思い、数々の人が失敗しているのも事実です。

 このマルチンゲール法を冷静にみる見方として”収益率”という見方を私はお勧めします。

 それは、”マルチンゲール法で狙う収益率を、用意している資金に対して何%とするか?”と考えることです。

 先ほどの700万円の例では用意している資金700万円に対して狙う収益は100万円なので

 100万/700万 = 14.3%が狙う収益となります。

 つまりこの賭けは、”87.5%の確率で14.3%の利益を得ることができるが、12.5%の確率で全てを失う賭けである”とも言い換えることが出来ます。

 多少主観もあるかもしれませんが、『たかだか14.3%の利益のために、10回に1回以上全てを失う様な賭けをするなんて、、、』と個人的には結構ローリターン・ハイリスクな賭けに見えます。

 ちなみに、目標利益と損失を得られる確率、利益を得られる確率の推移は次の様になっています。

 

 実はマルチンゲールで得られる収益率と、有金全てを失う確率の数字は回数を重ねれば重ねるほど、ほぼ同じになるんですね。

 例えば6.67%の利益を狙ってマルチンゲール法を行うと、破産リスクも6.25%と大体同じくらいになります。

結論

 マルチンゲール法は破産確率≒収益率となる手法です。

 投資においても、損をした時に大きく投資して損を取り返そうとする様な状況になることは少なくないと思います。その際は是非このマルチンゲール法の話を参考に、冷静に投資の意思決定ができる様になれば幸いです。