倍プッシュのリスクを数字で考える【マルチンゲール法】
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ギャンブルや投資において負けない戦略として、マルチンゲール法は非常に有名です。
マルチンゲール法という言葉は知らずとも、
その中身を知っている方は多いのではないでしょうか?
目次
マルチンゲール法とは?
マルチンゲール法とは簡単にいうと、”1/2の確率で勝てば賭け金が倍、残りの1/2の確率で0になる、という様な賭けにおいて、”負けた場合にはその前に賭けた額の倍を賭ける”という方針で行えば負けることはない。”という必勝法です。
例えば、1回目で100万円を賭けて負けてしまっても、2回目で倍の200万円を賭けて勝てばトータルでは+100万(1回目のマイナスー100万+2回目のプラス200万)となり1回目の損も取り返せます。
同様に、2回目で負けてしまっても3回目でさらに倍の400万円を賭けて勝てばトータルでまた+100万(1回目のマイナスー100万ー2回目のマイナス200万+3回目のプラス+400万)となりこれまでのマイナスの全てを取り返せます。
もちろん、この必勝法には有名な弱点があります。それは、”資金は無限ではない”という点です。たとえば元から300万円しか持っていなかった場合は先ほどの例では2回しか賭けることができず、2回目で失敗した場合有り金全てを失うことになってしまうのです 。
マルチンゲール法の魅力
しかし、それでもなおマルチンゲール法には魅力があります。それは資金は無限ではなくとも、数回この戦略で回せる余力があればかなり高い確率でプラスの収益を得ることができるからです。
例えば700万円のお金を用意して、100万円から賭けをスタートするとします。”一度でも勝ったら賭けを終了する”と決めて賭けた場合、87.5%の勝率で+100万円を得ることができます。
そう聞くと、9割近くの確率で100万円増やせるならやってみたい!!という気持ちになってしまいますよね。
これがマルチンゲール法の魅力です。
必勝法なのに期待値は0の戦略
しかし、マルチンゲール法が期待値の高い戦略かというとそうではありません。実は期待値を計算すると0になります。それもそのはず、もともと期待値0の賭けにどう参加するかどうかだけなのですから、期待値が変わることはありません。
先ほどの700万用意して100万を賭ける例で実際に損益の期待値を計算してみると
87.5%×100 – 12.5%×700 = 0
そして期待値0なのは資金をどれだけ多く用意しても同じです。負けても倍でかけられる回数が増えれば増えるほど、利益を得られる確率は高くなりますが、その分だけ負けた時の損失が雪だるま式に増えていってしまうのです。
収益率から冷静に考えてみる
とはいえ、ほとんど負けないんだから大丈夫だろう、自分は勝ち逃げするから大丈夫と多くの人が思い、数々の人が失敗しているのも事実です。
このマルチンゲール法を冷静にみる見方として”収益率”という見方を私はお勧めします。
それは、”マルチンゲール法で狙う収益率を、用意している資金に対して何%とするか?”と考えることです。
先ほどの700万円の例では用意している資金700万円に対して狙う収益は100万円なので
100万/700万 = 14.3%が狙う収益となります。
つまりこの賭けは、”87.5%の確率で14.3%の利益を得ることができるが、12.5%の確率で全てを失う賭けである”とも言い換えることが出来ます。
多少主観もあるかもしれませんが、『たかだか14.3%の利益のために、10回に1回以上全てを失う様な賭けをするなんて、、、』と個人的には結構ローリターン・ハイリスクな賭けに見えます。
ちなみに、目標利益と損失を得られる確率、利益を得られる確率の推移は次の様になっています。
実はマルチンゲールで得られる収益率と、有金全てを失う確率の数字は回数を重ねれば重ねるほど、ほぼ同じになるんですね。
例えば6.67%の利益を狙ってマルチンゲール法を行うと、破産リスクも6.25%と大体同じくらいになります。
結論
マルチンゲール法は破産確率≒収益率となる手法です。
投資においても、損をした時に大きく投資して損を取り返そうとする様な状況になることは少なくないと思います。その際は是非このマルチンゲール法の話を参考に、冷静に投資の意思決定ができる様になれば幸いです。