金融知識を学ぶ【企業力指数とは?フィルタとして使いやすい便利な指数】
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目次
企業力指数とは?
「企業力指数」というのを聞いたことはあるでしょうか?
企業力指数=企業評価のための指数で、松本敏史教授が考案したものです。
松本教授は早稲田大学大学院会計研究科教授と京都大学経営管理大学院非常勤講師を兼任し、
財務会計論や企業価値評価等を教えているファイナンスのエキスパートです!
さて、企業力指数の算出方法ですが、以下の5つの指数の平均値=企業力指数となります。
- 収益力指数 = 売上 ÷(売上−経常利益)
- 支払能力指数 = 流動資産 ÷ 負債
- 活力指数 = 売上 ÷ 資産
- 持久力指数 = (資産−負債)÷ 負債
- 成長力指数 = 資産 ÷(資産−当期純利益)
- 企業力指数 = 上記5つの指数の平均
現在分析している企業と、比較したい企業があった際に、
双方が異なる業界に属していると元来の財務分析では比較しづらいということがありますが、
企業力指数を用いると、同じものさしで企業を測ることが可能になります。
もちろん、業界ごとに特色が出ますので、業界の平均値等を勘案して補正が必要ですが、
容易に様々な企業を比較できるのは画期的です!
企業力指数のメリット・デメリット
簡単に比較ができる企業力指数ですが、そのメリットとデメリットを考えてみましょう。
◎メリット
- わかりやすい
1.0を基準に数値が算出されるため、直感的でわかりやすいです。
- 専門家でなくとも容易に計算が可能
計算式が簡単なので、財務諸表さえ読めれば誰にでも計算が可能です。
また計算式もわかりやすく、簡単に指標の数値が算出できます。
- 異なる企業を同じものさしで測定できる
異なる業界の企業も比べられるので、企業比較の際に便利です。
△デメリット
- 詳細な分析までは不可能
良くも悪くも簡易的な計算なので、財務諸表の一部分のみを反映しています。
なので、個別の詳細分析をする際には企業力指数は不向きだと言えます。
- 業界毎に補正が必要な場合がある
業界によっては企業力指数の平均値が低い業界もあります。
したがって、業界毎に補正が必要な場合もあると考えられます。
- 数値が簡易的なため、検証が必要
企業力指数自体が企業の本当の力を表さない場合もあります。
例えば、一般的に企業力指数が0.7を下回った状態が続くと倒産の可能性が高くなると言われていますが、
一方で1.0を上回っていても、企業の力が弱まっていることもあります。
※例えば、企業が営業に必要な資産を売却し、BSを圧縮しつつ負債を軽減している状態だと、
キャッシュを稼ぐ力は低下していますが、企業力指数は上昇することがあります。下記のような状態です。
企業力指数のメリット・デメリットは以上になります。
簡易的に算定する場合には非常に有効ですが、企業力指数だけで判断することは危険かもしれません。
まとめ
今回は企業力指数の紹介やメリット・デメリットの考察でしたが、いかがでしたでしょうか?
企業力指数は、計算が簡単でわかりやすいという点で、初学者から使える非常に使いやすい指数です。
一方で、企業力指数単体で判断してしまうと、判断を誤ることもあるので注意が必要です。
企業力指数は企業選定の際のスクリーニングや、企業間をざっくりと比較したい際に向いている指標と言えそうです。
他の分析手法と組み合わせて使うことで、より意味のある分析が可能になるかと思います!
財務分析や定性分析に関してはこちらも参考にしてみてください。