【経営のプロ】MBAと中小企業診断士の違いとは?両方取るべき?
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経営に関する能力を表すものとして『MBA』と『中小企業診断士』の2つがあります。
私はMBAと中小企業診断士の両方を保有しており、経営コンサルタントやデータサイエンティストとして活動をする上で実感したこの2つの違いを紹介します。
目次
中小企業診断士とMBAの違い
中小企業診断士は国家資格であり、経営コンサルタントの資格の一つとなっています。中小企業診断士がカバーすべき分野は『企業経営理論』『財務・会計』『運営管理』『経営情報システム』『経済学・経済政策』『経営法務』『中小企業経営・政策』の7つがあります。(1次試験)資格取得はこれらの合計点で決まりますが、すべての科目で最低限のスコアを取る必要があるため、全ての分野である程度の知識があることが保証されています。
一方、MBAは経営学修士で、大学院で経営学を終了した方の総称です。ですので、経営大学院卒業という意味なので正確には資格とは少し違います。MBAのカリキュラムは大学院によって違うのですが、分野としては概ね中小企業診断士の7科目とほぼ同じです。しかし学習の範囲にはある程度自由がある場合も多く、『専攻』といった形で特定の分野に特化したコースが設けられている場合もあります。私の場合『経営戦略』と『会計学』が必須の科目とはなっていましたが、あとはある程度自由に選択できる様になっていました。その上で、選択した分野に関しては単位取得のためにかなり深い所まで学ぶことになります。
中小企業診断士とMBAはどっちがいい?
MBAと中小企業診断士はどちらが良いのでしょうか?これを『スキル面』と『営業面』の2つの面から考えてみます。
『スキル面』
スキル面から言うと、MBAと中小企業診断士では以下の違いがあります。*もちろん、あくまで学習内容の差なので人によって能力には差があります。
・中小企業診断士の方がジェネラリスト、MBAの方がスペシャリストな傾向がある。
・中小企業診断士の方が体系的に、MBAの方が具体的に理解している。
中小企業診断士の場合、試験に受かるためには経営学の理解がまず必須となります。そのために『知識』を網羅的に、体系的に理解しておく必要があります。例えば同じ戦略論でもポーターはポジショニングベースの戦略論、バーニーはリソースベースの戦略論といった様に理論や知識の分類も体系的に理解しておく必要があります。また資格取得の条件からも、経営学の広い分野である程度の知識の勉強が必要とされるため、結果として広い知識を得ることになります。
一方、MBAの場合は知識よりも理論やその理論を活用した具体的な事例の研究に重きを置かれています。例えば、講義内でのディスカッションや事例研究を通じて1つの理論に対して『なぜあの企業は成功・失敗したのか?』といったことを深く追求していきます。また卒業のために単位を取る科目も自分の得意な内容・特化したい内容に寄せることが出来るため、特定の分野でより深いスキルの習得をすることになります。
ちなみに私の場合は、マーケティングリサーチを専攻していたため、マーケティングデータ分析のスペシャリストとなりました。
『営業面』
営業面でもMBAと中小企業診断士でも違いがあります。これは、私が実際に営業活動をしている時に感じた所感です。営業面とは、特に見込み客、所見の人にどう思われるのか?という観点でこれは『実際のスキル』とは違います。
・『経営に専門家』という事を示すだけなら片方でも十分
・『MBA』は修士号なので学歴、『中小企業診断士』は国家資格だから箔がある
・体感的には『MBA』の方がややウケが良い。
実際のところMBAで学習した人・中小企業診断士の勉強をした人でなければ、『スキル面』の違いまでの印象はありません。なので、『経営コンサルタントとして十分な能力がある』、『経営に詳しい』という事を示すだけであればどちらでも証明能力としては変わらないでしょう。
イメージとしては、『英語の能力が高い』という事を示すために『TOEIC』や『TOEFL』で高い点数を持っているのに近いとおもいます。
しかし、一定以上の知識人を相手にする場合『MBA』が響く人もいれば『中小企業診断士』の方が響く人もいます。
これもイメージとしては、『TOEIC』や『TOEFL』では抱くイメージが違う人もいるのと同じようなものです。例えば、『MBA』が資格ではなく『経営の大学院卒』であるという事を知っている方である場合、MBAだと単純に『大学院を卒業した人』と思われることも実際は少なくないです。そういった方に対しては国家資格である『中小企業診断士』を持っていると言った場合の方が信頼性が増す傾向にあります。
逆に『中小企業診断士』は、国家資格ではあるものの独占業務は無いのですが、独立されている方は一般的に『補助金』などの中小企業向けの制度活用の面から支援をされる方が多い傾向にあります。そのため、そういった制度利用の際に相談する専門家的なイメージでマーケティングの様なフロントビジネスの支援へのイメージはあまり多くない印象でした。
また『中小企業診断士』は経営コンサルタントの方の多くが持っているため、経営コンサルタントとして仕事を得る際に中小企業診断士を持って事がプラスになる事はあまりありません。それよりも『MBAでマーケティングを専攻していた』といったより専門性の高いアピールができるMBAの方がウケがいいと私は感じました。
中小企業診断士とMBAは両方取ることに意味あるのか?
中小企業診断士とMBAは両方とも取得することに意味があるのか?という論点はよくあります。個人的な結論としては経営コンサルタントとして活動する上では意味はあるが、重要性は高くないというのが所感です。
先述の様に『経営の専門家』である事を示すだけであれば、MBAでも中小企業診断士でも大して変わりません。多少のイメージの違いも、実際に提供するサービスを提供し始めることが出来れば、結局は能力勝負なので変わりません。ただ営業においてファーストインプレッションを最大化するのであれば十分意味はあるので、両方取っておくとより良いでしょう。
また中小企業診断士やMBAのどちらかだけで経営コンサルタントとして活動している方も少なくありませんし、十分サービスにはなるので問題はないと思います。しかし、同じような分野ではあるものの、サービスの質を高めるという観点でも両方を取得する事には意味があります。例えば私の様にMBAを先に取得している場合は、中小企業診断士の勉強をすることで自分が会得していない領域に気づくことが出来、結果として提供できるサービスの幅を広げることに繋がります。一方で、中小企業診断士から入っても、MBAの勉強をすることでマーケティングやファイナンスといった特定の分野で専門的な提案も出来る様になります。
中小企業診断士・MBAの知識
以上、いかがでしたでしょうか。当サイトでは、MBAホルダーのデータサイエンティストが自分の勉強や復習を兼ねて『MBA』や『中小企業診断士』での学習内容も分かりやすく紹介しています。資格の勉強をされる方や、経営の知識を身に着けたい方はよろしければ是非ご覧ください。
筆者がMBA時代に花王の業界構造分析を行ったレポートを元に解説しています。MBAってこんなことしてるんだな、と思ってもらえれば幸いです。