株価とCAPM理論
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目次
リターンとリスク
ファイナンス理論の世界では、リターンとリスクは相関関係にあります。
「小さなリスクでは大きなリターンは期待できない」「リスクが大きければ期待リターンも大きい」ということです。(詳細はリスクとはをご覧ください)
投資家は、リターンを求めて市場に参加して、自分の満足する価格で株を買いますので、
【投資家A】が【投資家B】から株を買い、株価が形成されていきます。
同様に【投資家C】が【投資家D】から株を購入し・・・
という感じです。
では、株式市場では株価の変動をどうにかして表現できないでしょうか?
例えば、日本市場の株価全体が落ち込んでいる時、日本を代表する企業である「トヨタ自動車」や「ソフトバンク」の株価も下落していることが多いです。
このような動きは日本市場と線形関係で表現出来そうです!
一方で、日本市場の動きに関係なく株価が上下することもあります。
これは、線形では無理そうです。。。
この様に、株価の動きは複雑ですが、株価の動き=リターンを数式化したものがCAPM理論です。
CAPM理論における株価のリターンの数式はこの様に表現されます。
以下でこの数式を説明していきます。
マーケット依存リターン( β 部分)とリスクフリーリターン(Rf)
左辺の Ri =求めたい企業の期待リターンです。
右辺の数式は2つの部分に分けることができます。
① β(RmーRf)
② Rf
① β(RmーRf)
β(RmーRf)は、マーケットに依存するリターン部分を表します。
マーケットリターンは Rm の部分です。
(RmーRf)はマーケットリスクプレミアムと呼ばれるもので、マーケットに参加したリスクに対するリターンを示します。
β は個別株のリターンの変動が、マーケットの変動にどれだけ依存しているかを示します。
例えば β =1ならば、マーケットと同様の動きをしますし、β=-1ならマーケットと正反対の動きをします。
( β の話は長くなるので、詳しくはβとWACCをご覧ください)
② Rf
Rf はマーケットリターンに全く関係なく発生する様なリターン部分を示しています。
つまり、いつでも発生するリターンのことです!
これは国債のリターンとすることが一般的です。
マーケットがクラッシュしても国債の価値は残ると考えられているからです。なので、国債の利回りの値を調べて使用しましょう。
以上の2つの数式から Ri(求めたい企業の期待リターン)を求めることが出来ます。
このように簡単に期待リターンを算出できるのがCAPM理論の良い点です。
まとめ
CAPM理論は中学生でもわかるような数式で株価の期待リターンを表現できるため、理解しやすく、非常に使いやすいです。
市場リターンと株価リターン、国債利回りがわかるだけで、将来の期待リターンが算出できるのは夢のようです!
一方で、CAPM理論は良くも悪くも単純で、本当にこんなに単純なのかという気もします。
投資家やAIの様々な考えによって株価が形成されているとすると、その株価リターンを一次方程式で表現するのは確かに単純すぎる感があります。
最近は、CAPM理論に代わる『3ファクターモデル』等も提唱されており、CAPMが成立するか等はよく議論されています。
ですが、期待リターンが簡単にわかるというメリットは、デメリット以上の価値があるのではないでしょうか?
ぜひ、お気に入り企業の期待リターンを算出してみてください!