ディレクト・データ

ファイナンス例題集【DCF、株価、デュレーションなど】

ファイナンス例題集【DCF、株価、デュレーションなど】

SNSでシェア

目次

財務分析

財務分析に関する例題と解答をまとめています。

実際に株式投資する会社を財務分析すると結構面白い視点が見えたりします。

例題は証券アナリスト試験で出るような問題を意識して作成しています。

 

■問題.各社のROAを求め、売上高利益率と総資産回転率に分解せよ
財務諸表 J K
売上高 100億円 300億円
売上総利益 40億円 60億円
営業利益 20億円 30億円
総資産 250億円 600億円

解答

J社ROA:20 / 250 = 8.0%

J社売上高利益率:20 / 100 = 20%

J社総資産回転率:100 / 250 = 0.4回転

K社ROA:30 / 600 = 5.0%

K社売上高利益率:30 / 300 = 10%

K社総資産回転率:  300 / 600 = 0.5回転

■問題.各社の流動比率、自己資本比率、財務レバレッジを求めよ
財務諸表 S社 G社
流動資産 100億円 300億円
流動負債 100億円 200億円
自己資本 50億円 200億円
総資産 250億円 600億円

解答

S社流動比率:100 / 100 = 100%

S社自己資本比率:50 / 250 = 20%

S社財務レバレッジ:1 / 20% = 5倍

G社流動比率:300 / 200 = 150%

G社自己資本比率:200 / 600 = 33.3%

G社財務レバレッジ:  1 / 33.3% = 3倍

理論株価の算出

ファイナンス理論を用いれば、理論株価を算出することができます。

もちろん絶対にあっているわけではないですが、一種の指標として使うことができます。

■問題.X社に関して以下の問いに答えよ

(A)X社は株式β=1.1 Rf =2.0% Rm =6.0% である。同社の資本コストを求めよ

(B)X社は来季25円の配当を予定している。また2年後以降の配当金は毎期3%で成長すると期待されている。現時点でのX社の理論株価を求めよ

(C)X社の1年後の理論株価はいくらか

(D)X社のキャピタルゲインと配当利回りの合計は資本コストと一致しているか

 

解答

(A)資本コスト=β( Rm – Rf )+ Rf = 1.2 ( 6.0% – 2.0% )+ 2.0% = 6.8%

(B)理論株価=配当金/ (資本コスト–成長率) = 25/ (6.8% – 2.0%) = 520.833..円

(C)

1年後の配当金を用いて考える。

理論株価=25×(1.02)/ (6.8% – 2.0%) = 531.25円

(D)

キャピタルゲイン= (531.25 – 520.833..) / 520.833.. = 2.0%

配当利回り= 25/ 520.833.. = 4.8%

合計は資本コストと一致している

 

■問題.配当金が毎年40円という定額配当モデルを前提とする。

理論株価が2,000円であるとき、同社の資本コストを求めよ(無借金とする)

 

解答

理論株価と資本コストの関係は 理論株価=配当/資本コスト

従って、求める資本コストは 40円 / 2,000円 = 2.0%

 

 

■問題.P、Q社に関して以下の問いに答えよ
分析結果純資産/1株ROE配当性向資本コスト
P2,000円8.0%50%9.0%
Q1,000円10%40%7.0%

(A)P、Q社それぞれの理論株価、成長率、PER、PBRを算出せよ

(B) P社が配当性向を100%にすると、理論株価はいくらになるか

(C)Q社が配当性向を50%にすると、理論株価はいくらになるか

 

解答

(A)

配当金=純資産×ROE×配当性向

成長率=ROE×(1−配当性向)

理論株価=配当金/(資本コスト−成長率)

PER=1株当たり純利益/ 株価

PBR= 株価 /1株当たり純資産

算出結果配当金成長率理論株価PERPBR
P80円4.0%1,60010倍1.6
Q40円6.0%4,000円40倍4.0

 

(B)P社が配当性向を100%にすると、配当金と成長率に変化が起きる

算出結果配当金成長率理論株価
P160円0%1,777.78..円

 

(C) Q社が配当性向を50%にすると、配当金と成長率に変化が起きる

算出結果配当金成長率理論株価
Q50円5%2,500円

βとWACC

βやWACCは企業価値評価やリスクを考える上で大事な指標になります。

そもそもβとWACCって何?って方はこちらをどうぞ。

>>βとWACCってなに?どんな場合に使うの?

 

■問題.X、Y社に関して以下の問いに答えよ
財務諸表他XY
売上高4,000億円2,500億円
営業利益200億円200億円
当期純利益150億円150億円
有利子負債0円300億円
純資産2,000億円500億円
有利子負債利率0.0%2.0%
β(ベータ)0.81.2
配当金104円100円

※ Rf=2.0% Rm=6.0% 法人税率=30% とする

(A)X、Y社のROAを求めよ

(B) X、Y社のWACC、理論株価を算出せよ

 

解答

(A)

総資産=純資産+有利子負債

X社ROA:200 / 2,000 = 10.0%

Y社ROA:200 / (300 + 500) = 25.0%

(B)

資本コスト=β( 6.0%−2.0% )+ 2.0%

WACC公式:βとWACCってなに?どんな場合に使うの?を参照してください。

X社資本コスト:0.8 ( 6.0%−2.0% )+ 2.0% = 5.2%

X社WACC: 5.2%(無借金のため)

X社理論株価:104円 / 5.2% = 2,000円

Y社資本コスト:1.2 ( 6.0%−2.0% )+ 2.0% = 6.8%

Y社WACC: 6.8% ( 500 / 800 ) + 2.0% ( 300 / 800 )×(1−30%) = 4.775%

Y社理論株価:100円 / 4.775% = 2,094.24..円 

 

デュレーション

デュレーションは投資の回収期間を示す指標です。

修正デュレーションやらコンベクシティもデュレーションから求められるので、かなり幅のある指標と言えます。

デュレーションに関してはこちらをどうぞ。

>>デュレーションってなに?どんな意味があるの?

 

■問題.各債権のデュレーションを求めよ
CF/年数1年目2年目3年目4年目5年目
債権A1,000円1,000円1,000円1,000円11,000円
債権B500円500円10,500円
債権C0円0円0円10,000円

なお、各債権の価格は以下の通り。

債権A:13,205.795円

債権B:10,500円

債権C:8,227.02475円

 

解答

(債権A)

最終利回りt:

と表現できるので t = 3.0%

クーポンレート:10%

デュレーション:

 

(債権B)

最終利回りt: と表現できるので t = 5.0%

クーポンレート:5%

デュレーション:

 

(債権C)

最終利回りt:  と表現できるので t = 5.0%

クーポンレート:5%

デュレーション:クーポンレートは 0% なので デュレーション = 残存期間 = 4年

 

DCF法

企業価値評価をする際に用いる方法の1つがDCF法です。

そもそもDCF法ってどんな手法?という方はこちらをどうぞ。

>>企業分析に欠かせない! DCF法とは?

 

■問題.F社に関して以下の問いに答えよ
F1年後2年後3年後
FCF400億円380億円450億円

(A)4年目以降のFCFが毎期450億円で、一定だとするとF社の企業価値はいくらか。ただしWACCは8.0%とする

(B)4年目以降のFCFが毎期3%で成長する場合、F社の企業価値はいくらか。ただしWACCは8.0%とする

 

解答

(A)企業価値=将来CFの現在価値の合計

(B) 企業価値=将来CFの現在価値の合計

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回はファイナンスの例題&解説をまとめてみましたが、いざ書き出すと色々な指標があって、全部を最大限活用するのは難しいですよね。

1つの企業や1つの業種で絞って、色々な面から分析したら面白そうですね!

地道に探せばお宝銘柄も見つかるかもしれないので、みなさんもぜひ企業分析に活用してみてください。

 

More Posts

DiRect Data

データ分析で経営の効率化

経営データ分析を得意とする少数精鋭MBAデータサイエンスト集団。

データ分析に関するご相談は以下フォームよりお気軽にお問い合わせください。*初回相談は無料です

Contact
Picture of 独り言好きなデータサイエンティスト
独り言好きなデータサイエンティスト

経営学や統計の知識から、日常的な気になる数学の雑談などの独り言をこのブログにつらつら書いています。
経営学は特にデータサイエンスの解釈の幅を広げる重要なスキルなので、データサイエンティストを目指すような方にも読んでもらえるといいかもしれません。

職業:データサイエンス企業を経営しています。相談ベースでも構いません。よろしければ、お気軽にお問い合わせください。

お仕事のご依頼・ご相談はこちら
アンケート設計の基本

 アンケートは、正確なデータ収集と適切な意思決定を支える重要な手段です。現在では、Googleフォー

倒産防止共済の掛金について

倒産防止共済については、私が経営コンサルティング能力の向上のため、中小企業診断士の資格を取得した際に